第八章、評価経済的視点で可視化しかじか ~【簡易版】文系オヤジ降臨~まだ唱えてるぞ!オイラの『評価経済論』
今回のけーこす先生の元記事は、以下です。
『ちょっと目を離すと何やり出すかわからん!っていうトピ主であり続けたい・・・』
けーこす先生のマガジン「文系オヤジ降臨~まだ唱えてるぞ!オイラの『評価経済論』」に感動し、この簡易版を書き始めて一か月以上経ちましたか。
長いような短いような間でしたが、そろそろ終わりが見えてきました。
というのも、この記事が評価経済系の濃い内容で最新のものですので。
この後は、今回の補足の記事とあとがきの二回で終了となる予定です。
それでは、本題に入ります。
何で今までの経済政策ってダメダメっだったの? 評価経済的視点でスッキリ可視化してみまひょ~!
(1)評価経済論者から視た現代経済政策論
近年、民主主義を掲げる先進国の経済政策は上手くいっているとは言えなくなり、むしろ「適度な独裁国家の方がGDPの成長率が高くなる」ということも起きています。
が、それはGDPが指標として上手く機能していないことが原因です。
いつまでもずっと企業の活躍に心酔し、過度にGDP重視政策を進め過ぎたからです。
そこで従業員という個々人が織りなしていた本質的な国の豊かさを、無料で企業に奉仕させてしまいました。
そして気付いた時には、定量的に可視化されなかった個人(家計)部門における社会的価値生産力が経済政策論から無視され、見るも無残な状態にされていたのです。
過労死、パワハラ、社畜……信賞必罰が徹底され、当たり前を唱える者は淘汰され、おかげで中産階級が大幅に減少し、市民の間にDivisive hatred(住民同士の嫌悪)が増幅されてしました。
民主主義国家の中でも特にみじめだったのが日本であり、日本だけが30年間、全くGDPが成長していませんでした。
で、ここでけーこす先生のお言葉を直接引用致します。
日本企業では、というか日本人って体育会系の部活の延長っちゅうか、どこまでいっても旧日本軍的テイストが好きなんだよな。だから、とりわけ民間部門の疲弊がすさまじかったんです。
出た、旧日本軍的テイスト。
ということで、このことにご興味ある方は以下の記事も是非。
(2)そもそもGDP長期拡大路線が「もうムリゲーだ!」という理由
GDP長期拡大路線がムリゲーである理由を、けーこす先生は経済学原論の基本用語「限界効用逓減の法則」でご説明されています。
そこでは具体的にエアコンを例に挙げてご説明されておられますが、ここで私はもうちょっと大きく抽象的な話をしておきたいと思います。
……というか、図に表してみました。
第七章でも少し触れましたが、私は仮想通貨からHiÐΞさんと出会ったのではなく、日用品と嗜好品→(中略)→NFT→(中略)→HiÐΞさんという順番であり、要するに「お金」ではなくて「もの」の方からやったわけです。
というわけで、私が得意(?)とする「もの」の話をさせて頂きますとですね。
高級品を大きく二つにわけると「プレミアム」と「ラグジュアリー」となります。
日本は昔からプレミアムな商品を生産するのは得意でしたが、ラグジュアリーの方は苦手としていました。
けーこす先生の例では「過剰な機能をお客さんに要らないと言われた場合」を挙げておられましたが、ここまでいかない場合でも「出た当初はすごいと言われてありがたがられた機能が、いつの間にか当たり前になる(=それがセールスポイントとして機能しなくなる)→価格が下落」というのは良くある話です。
今はこの「コモディティ化する時間が、えらい勢いで速くなっている」っていうのもあるわけです。
そしたら次々と、新しい良いものを生産しなければならないわけですが。
ただ生産するだけじゃダメなんです、良いものじゃないと。
それも「お客さんが良いと判断するもの」じゃないとダメなんですよ。
生産する側が「これは良いものだ」と思ってもお客さんがそう思わなければ、その商品を選んで買ってくれることはありませんから、全部ムダ(=この時点では無価値)になります。
(「この時点では無価値」とは「この時に売れなくとも、その情報を上手く次に活用し次回に売れる商品を生産できたら、後に無価値ではなくなる」という意味です)
そしてそれは商品に限らず情報(特にIT系が顕著)にも当てはまりますから、今を生きる我々は皆、多かれ少なかれ疲弊している、という話にもなるわけです。
なら、ラグジュアリーをがんばれば良いじゃないかーて話になるわけですが、そこら辺の話は本題から逸れますので、補足の記事で書かせて頂きます。
(3)大企業の延命策から舵を切れない2つの原因
国が何故この問題を解決出来なかったというと「政治にお金がかかる」ことと、その「お金の多くを企業献金が賄ってきた」という二つの理由があります。
そして最近、もう一つの事情が重なりまして、それが「既存の大企業の筆頭株主が事実上、政府になってしまった」という点です(この詳述については先生の記事『歪められた市場メカニズムからの悲鳴 ②』の「(5) 地に落ちた市場メカニズムという名の「茶番」」をご覧ください)。
つまり政府が特定の大企業の筆頭級の株主となって、その配当で年金財源等を賄うようになったら、その大企業に不利な政策は打ち出しにくいことになるわけです。
(4)株式会社はオワコン?!
けーこす先生が「株式会社はオワコンだ」という理由を一言で言えば、時代に合わないというものです。
株式会社の起源は1602年に設立されたオランダ東インド会社で、その時代に航海プロジェクトのために投資を募ったのが始まりであり、投資する方も船員もギャンブルに近い非常にハイリスク・ハイリターンなものだったのです。
そんな時代だから株主と船員の立場には天と地ほどの差があっても、ある意味で許されたのです。
ここでけーこす先生のお言葉をそのまま引用致します。
でも、今日みたいに従業員も高度な知識を有して企業に貢献し、ステークホルダーとして認知されるようになっても、Going concernの名のもとに株主に多額の配当を払い続ける仕組みでは、文字通り 「会社とは一体、誰のものなのよ?価値を最も創造してるのってオレら従業員じゃね?」 ってなっちゃうワケですよ。
先生のご指摘は、近年の日本では正しいものです。
しかしそこに至るまでは、むしろ逆に「株主(特に個人投資家)を軽視し、従業員を優遇し過ぎた」ことも理由の一つです。
これは欧米、特に米国と比較するとよりわかりやすいかと。
その日本の従業員が優遇されていたところは「終身雇用に年功序列(これは早くに崩壊)、雇用保険に健康保険に厚生年金、会社によっては厚生年金基金などなど」であり、これに加えて「解雇するのが難しい」ということも、他国と比べて優遇されている立場であったと言えます。
ですが最初にも書きましたように、近年はそうではありません。
近年は何故そうでなくなったのかと言いますと、一言で言えば「利益が激減し、従業員を優遇する余力がなくなった」からです。
何故、従業員を優遇できなくなったのかと言えば「お客さんがお金を持っていないから、値下げして売らざるを得ず、従業員への報酬も減った(→その従業員が客の立場になって、さらに客がお金を持っていない状態が加速する)」ということが起こったからです。
さらに何故、お客さんがお金を持っていない状態になったのかと言いますと、その一因が先ほどの「株主(特に個人投資家)を軽視した」ことでした。
この詳細は「株主(特に個人投資家)を軽視したがために、投資する能力のある国民が育たず投資金額も少なかったがために、欧米と比べて少ないリターンしか受け取れなかった」からこそ「国民がお客さんの立場になった時に、使えるお金もより少なくなったことで商品をより安く売らざるを得ず、企業の利益が減って従業員への報酬も減った」ということです。
ここら辺の話の詳細については『補足・第二章、指標の不足と「日用品と嗜好品」』をご覧ください。
そして近年に株主を重視し厚遇する政策になった理由は、先ほどの「(3)大企業の延命策から舵を切れない2つの原因」の「政府が特定の大企業の筆頭級の株主となった」こともあります(でないと年金の運用で困るから)。
ただしそれだけではなく、株主を厚遇しなければ国民の誰もが日本の会社に投資なんぞするはずもなく、そうなるとさらに欧米との時価総額の差が大きくなるし、受け取るリターンも少ないままだし、もちろん先ほど述べた日本の市場に流れるお金も少ないままだしで……要するにそのままだと相当やばいと言わざるを得ないのです。
そこでNISAとかつみたてNISAとかiDeCoとか、非課税で厚遇するから国民の皆さん投資してよーという話になって、現在に至っているわけです。
(ここで一言。
会社の業績が悪くなった時に欧米なら迷わず能力の低い従業員を解雇するのでしょうが、日本ではそれをせずせいぜいが早期退職制度ぐらい、かつ若者の新規採用を控えて非正規雇用で賄うということで乗り切りました。
つまり若い世代にそのツケを回して延命したわけで、これをやったのは株をほとんど持っていない雇われ経営者の立場の人も多かったのではないかと思います。
というわけで悪いのは株主か従業員かという話ではなく、その原因が「日本のこれまで常識とされた価値観のままでやっていくのは、もはや無理」ということを各自で自覚し、その対策を考えることしか解決策はないものと思われます)
なお、この「どこかの会社の株に投資する」という行為は、投資する前に「その会社に投資する価値があるかどうかを評価しなければならない」わけですから、ここでも「評価する能力」を問われています。
出た、評価ですよ評価。
今回はここまで。
お付き合い頂きましてありがとうございました。
※元マガジン「文系オヤジ降臨~まだ唱えてるぞ!オイラの『評価経済論』