非中央集権のあたらしい流通
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上記の画像は Twitter が初めて発行した NFT である。2週間ほど前の出来事である。画像にあるものは7種あるうちの1つで、個人的にお気に入りのやつである。ポップでかわいい。この NFT は7種×20個、全部で140個しか世界に存在しないものである。この投稿にリプライした人の中から無作為に選ばれた人が運良く NFT をゲットすることができる。私も Twitter による初めての NFT 発行であることに興奮して速攻でリプライをしたものの、得ることが出来なかった。
そもそも NFT とは何か。NFT はNon-Fungible Tokenの略であり、日本語では非代替性トークンという名前がついている。ブロックチェーン上で扱われるデータの1つである。非代替性とはそもそもどういうものだろうか。代替性の説明からしてみよう。代替性は例えるならお金である。あなたの持っている1万円札と私の持っている1万円札は同じ価値を持っている。この2つを交換しても同じ1万円に変わりはない。では、あなたの好きな芸能人が使った1万円札が存在するとしよう。それをあなたが運良く手に入れることができた。あなたはその1万円札に1万円よりも大きな価値を感じるだろう。普通の1万円札と交換することはできない。つまり非代替性を持つ。あなたの家族やペット、卒業証明書、あなたが頑張って育てたたまごっちやポケモンは唯一無二であり、これらは非代替性を持つと言える。よくよく考えると1万円札はそれぞれに数字が刻まれている。それに注目するならそれぞれが固有の数字を持っていて区別することができるため、非代替性を持っているといえる。だが私たちは普段の生活の中でその違いを意識せずに使っているため代替性を持つともいえるのである。つまり非代替性と代替性は着目点によって変わってくる。
現在主流な NFT の形態は画像や動画といったデジタルデータを NFT としてブロックチェーンに記録することである。同時に作成者と所有者の情報もブロックチェーンに書き込まれる。ブロックチェーンは極めて改ざん困難であるため、第三者は所有者を偽ることができないし、所有者は自分が所有者であると証明することができる。画像や動画といったデジタルデータそのものは複製可能であるから、NFT として肝になるのはそのデータの所有権である。美術館へ行けば価値のある絵画を、それは本物だったりレプリカだったりするが、見ることができる。見ることができても所有することはできない。それと同じである。所有していることそれ自体に価値があるのである。TwitterNFT が欲しいがために、110万円の現金を持ち運ぶことになった日本人修士の方の記事が面白いのでぜひ読んで欲しい。
NFTはブロックチェーン上に存在するため、中央の管理者が存在しない。つまり、NFT の売り買いを中央の管理者を必要とせずにブロックチェーン上で行うことができる。仲介業者を必要としないのだから、仲介業者に手数料を払う必要がない。TwitterNFT と学生のケースでは、相手はブロックチェーンに不慣れであったため、記事の筆者は100万円以上の現金を持ち歩くことになった。取引をする相手がNFTのやり取りに慣れている人なら金銭の受け取りとNFTの譲渡をブロックチェーン上で完結することができたのだ。現金の金額もそうだが、現金でやり取りをするリスクが天秤にかかるくらい、この方は TwitterNFT が欲しかったのだろう。仲介業者が存在しないという利点の他に、売買は全てブロックチェーンに刻まれるため、売買の金額の一定の割合を NFT の作成者の利益に設定もすることができる。古本のような二次流通は作者の収入にならないが、この仕組みを使うことで作者が二次流通に対しても一定の収入を得ることができる。
現状、NFT には期待できる部分があるものの投機的な目的で売買されていることが多く、本質的に評価されてやり取りされているのか疑わしい状況にある。他にも問題となっている点もある。これらの問題がどのように解決され、NFT が実社会に溶け込んでいくのか、見守りたいところである。また、日本にはアニメを始めとしたコンテンツが沢山ある。これらをNFTと組み合わせることによって日本が NFT マーケットを牽引する立場になれるよう期待している。
アカウント:@8blank71

これは大学でできた友人が撮影してくれた私の手。これを NFT として刻みたい。