#141(21/11/20) ブロックチェーンの相互運用性を解決するPolkadotとCOSMOSをざっくり理解す
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以下、転載。
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ブロックチェーンのインターオペラビリティ完全に理解した。
本日のサマリ
- 現在のブロックチェーンは相互に繋がっておらず無理やり接続している状態
- ブロックチェーン同士が接続され情報のやり取りが可能になることを相互運用性という
- 相互運用性はブロックチェーン用語で、Interoperabilityと呼ばれ大きな課題の1つである
- PolkadotやCosmosが相互運用性の課題にチャレンジしてきていることで有名である
- ブロックチェーン同士を接続するBridge系が登場してきており相互運用性は高まってきている
それでは本題です。
以前、ブロックチェーンの本質を簡単にという記事を書きました。そこでBitcoinに既存の資産からお金が流れ込んでいるという話があり、Bitcoinから右側の新しい領域にさらにお金が流れ込んでいるという話を書いています。
まだ、右側の青い部分についての解説を書いていなかったので、少しずつ書いて本にまとめていきたいと思います。
ちなみに、こちらの図はYoutuberのmr.masaさんの動画を参考に作ったものです。
今日は1番下のBlockchain Interoperabilityを紹介していきます。
ブロックチェーンのインターオペラビリティとはなにか?
Twitterを見ていると時たま頭の良さそうな人達がブロックチェーンのインターオペラビリティがーといった会話を繰り広げています。最近、NFTからこの業界に入ってきた人からするとちんぷんかんぷんだと思いますので、それらを説明する記事を書いていこうと思いました。
インターオペラビリティ(Interoperability)とは「相互運用性」の意味です。難しい日本語ですが、お互いに互換性のある関係だと思っておけばよいです。
例えば、家電には様々な種類がありますが、コンセントは全部同じ形してますよね?コンセントが同じなので、一々コネクタなどを購入せずともすぐに家電が使える。これが相互運用性です。
さらに例を重ねますが、日本のコンセントと米国のコンセントは形が違いますよね?これだと不便だから、全部同じにしたらええやん。というのがブロックチェーンの相互運用性の課題です。
(調べてみたけどありすぎー笑)
■このレイヤーが解決したいシンプルな課題
💡 ブロックチェーンごとにデータが分断されていると不便なので繋がっていたほうが良い
ブロックチェーンにはBitcoinやEthereumなど様々なものがありますが、それぞれのブロックチェーンは独立しており現在は繋がっていません。一部、ETH上で扱うことが可能なWBTCなども存在していますが事例としては僅かでまだまだ滑らかなやり取りができるようなものではありません。
このプロトコルが出来上がれば、新しく作られたブロックチェーンが、トランザクションやメッセージをお互いに送信可能になります。
例えるならば、楽天経済圏とLINE経済圏でのポイントのやり取りは現段階ではできませんよね。今のブロックチェーンもこれと同じ状態です。
現在のブロックチェーン同士はそれぞれに独立しており、各ブロックチェーンを参照することでそのNFTや暗号通貨を持っているかどうかは確認できるのですが、その情報をコピー禁止の状態のままブロックチェーン間で情報を伝達することが難しい状況にあります。
ブロックチェーン上に刻まれてコピー禁止状態になったデータをオンチェーンデータ、通常のWebページなどのデータをオフチェーンデータというのですが、オフチェーンデータを一回でも挟んでしまうと、改ざんされているかもしれない可能性が出てきてしまいます。
これをブロックチェーン用語でオラクル問題と言い、これを技術的に解決しようとするのがこの領域です。
■ 実はインターネットの時と同じことが起きている
このレイヤーはインターネットも日本のインターネットとアメリカのインターネットで自由に通信できていると思いますが、昔はそうではありませんでした。
インターネットで言うとwwwやTCP/IPのようなプロトコルレイヤーに相当します。
インターネットが世界中で利用できるようになり、SNSが無料で触れるようになってきたことでインターネットが爆発的に世界に広まりました。
ブロックチェーンにも同じことが起こります。
現在はブロックチェーンごとに価値が載っており、相互にお金や情報をやり取りするのに不便がありそれらを解消することができれば更に大きなネットワーク効果を得ることができます。
資金、処理能力、セキュリティを得ることができます。
Polkadot vs COSMOSがInteroperabilityを解決する
この領域にはすでにCOSMOSやPolkadotといった2大巨塔の対立構造として比較されることが多いです。彼らはブロックチェーンのインターオペラビリティの問題を解くために、近しい戦略を取っています。しかし、そのプロトコルやデザインに、多少の違いがあります。
この2者の大まかな戦略を端的にお伝えしておくとこちらです。
💡 でっかいメインブロックチェーン作ってそこに固有のサブチェーン接続したらええやん。
左がCOSMOSで右がPolkadotです。図が似ていませんか?この2つのプロジェクト共に真ん中に大きなHubとなるチェーンがあり、そのメインチェーンに様々な機能を持ったサブチェーンが接続する形になっています。
ブロックチェーンに限らず、テクノロジー全般に言えることですが、後発テクノロジーの方が処理性能が高いことは「当たり前」です。最初は大きかったパソコンもどんどん小さくなり持ち運べる大きさになりましたし、通信規格は4Gから5Gになりどんどん早く高性能になっています。
ブロックチェーン業界においてもその傾向は例外ではなく、最初に誕生したBitcoinやEthereumのようなブロックチェーンよりもSolanaやAvalanchの方が性能は高くなっています。
ですが、新しく誕生した新興のブロックチェーンがすでに存在していたブロックチェーンに負けるポイントがハッキング耐性(セキュリティの高さ)です。ブロックチェーンは別名「分散台帳」と言われるように台帳を複数人で持つことで改ざん耐性を得ています。
そのため、生まれたばかりのブロックチェーンは分散台帳の数(ノード)が少ないのでハッキングされやすくなってしまいます。いわゆる51%攻撃と呼ばれるものですね。
BitcoinやEthereumは半端ないノード数を保持しているのでこれらをハッキングしようとすると膨大なコストが掛かり徒労に終わるので誰もやらない。という設計になっています。本当によくできていますよね。
そのため、個人的にPolkadotやCOSMOSが実践しているこの解決方法はEthereumのサイドチェーン的な解決方法だと認識しています。
こちらで解説してます[Daily Topics]Web3.0のインターネット基盤になっていくEthereum
少しだけプロジェクトの中身を見ていきましょう。
COSMOS
ぶっちぇけCoinpostの動画を見たほうが速い。
COSMOSの中にはCosmos 〇〇という名前のものが多くあるので簡単に概要のみ伝えておきます
- Cosmos Hub(通称:Gaia):Cosmos内で稼働するメインブロックチェーン
- Cosmos Zone:メインブロックチェーンに接続されるサブブロックチェーン
- Cosmos Network:Cosmos HubやCosmos Zoneらのネットワークの総称
- Cosmon SDK:Cosmos Networkに接続可能なブロックチェーンを開発するための開発キット
- Inter Blockchain Communication (IBC):Network間を通信するための通信プロトコル
COSMOSの中にはCosmos 〇〇という名前のものが多く、COSMOSという名称はそれらをひとまとめにした総称です。固有名詞が多すぎてわかりにくいですよね。Polkadotも固有名詞がバンバン出てくるのでそれらが理解を妨げている要因だと思います。
💡 これだけは覚えてほしいのは大きいチェーンに小さい多機能なチェーンを繋いでつよつよにしようとしているという部分です。
■ COSMOSの歴史
Cosmosはブロックチェーン業界の中でも歴史の長いプロジェクトで、この上でTerraなどのStablecoinなども誕生しており様々なプロダクトが生まれつつあるまさに過度期に当たる状態です。
2014 COSMOSの元になるTedermintが開発される
2016 COSMOSのホワイトペーパーが発表され、Interchain Foundation(ICF)財団が組成される
2017 ICFがICOを行う
2019 Cosmos Hubがローンチ
2021 Inter Blockchain Communication(IBC)が公開される
Polkadot
これもCoinpostの動画を見ておけば正直ok
Cosmosの説明に倣い簡単に概要をさらっておきます。
- Relay Chain:Polkadot内で稼働するメインブロックチェーン
- ParaChain:メインブロックチェーンに接続されるサブブロックチェーン
- Polkadot (Network):Relay ChainやParaChainらのネットワークの総称
- Substrate:Polkadotに接続可能なブロックチェーンを開発するための開発キット
- “cross-consensus” messaging format (XCM):Network間を通信するための通信プロトコル
いや、固有名詞多すぎーってなるよね。笑
大まかな仕組みはCosmosと同じなので、細かい仕組みを理解しなければならないと言うよりはざっくり理解で大丈夫です。
■ Polkadotの歴史
PolkadotもCosmosと同じタイミングでプロジェクトが立ち上がっており、Interoperabilityはこのどちらかが解決すると言われていました。
2016 Polkadot誕生
2017 PolkadotがICOを行う
2019年9月 2回目の資金調達を実施、プライベートセールなども行い資金を調達
2021年6月 Polkadotの1/10にデザインされたテスト的な存在であるKusamaが始動
2021年11月 満を持してPolkadotローンチとParachainオークションの開始
PolkadotとCOSMOSの比較
ParachainとCosmos Zoneは、ブロックチェーンのインターオペラビリティを実現するためにChain Relaysを使っています。しかし、そのインプリにおいて違いがあります。
最大の違いは、彼らがどうやって、ブロックチェーン同士をつなぎ、セキュリティを共有し合うかという点です。Polkadotでは、ネットワークセキュリティはプールされ共有化されています。このアプローチの場合、それぞれの個別のブロックチェーンは、ゼロから自分たちのブロックチェーンを立ち上げる場合と比較して、その実績や信頼をゼロから構築する必要がなく、そのプールされている共有しているセキュリティを使うことで、ブロックチェーンを立ち上げていくことができます。
これは、新しくParachainを作る場合に、PolkadotのトークンであるDOTをボンディングすることで実現できます。また同時に、もしそのブロックチェーンが不要になった場合は、ボンディングしていたDOTをアンボンディングすればいいのです。
一方、Cosmosの場合は、新しくチェーンを作るのに、ATOMをボンディングする必要はありません。代わりに、Cosmos Hubがどの新たなCosmos Zoneに接続するかは、ソフトウェアガバナンス上の投票によって決められます。
比較表
上記の内容を表にまとめたものが以下になります。
PolkadotやCOSMOSは同じ課題を似たアプローチで解決しようとしているので、よくVSでの対立構造で描かれるのですが、直近では以下のようなニュースも出てきており、VSではなく共栄圏を築いていくのではと予想しています。
PolkadotとCosmosがテストネットで接続に成功、利便性向上の可能性
また、最近はPolkadotやCOSMOS以外にも相互運用性を解決するプロダクトが登場しつつあります。DeFiやNFTの盛り上がりによって、様々なブロックチェーン上でプロトコルが誕生しマルチチェーン対応が必須になりつつある昨今のトレンドにおいて、ユーザーの資金移動の需要を満たすために各チェーン間を橋渡しするBridge系プロトコルも台頭しつつあり、ブロックチェーンの相互運用性を解決しようとするプロジェクトはPolkadotとCOSMOSだけでは無くなってきました。
Bridgeに関してはこちらに書いています。
[Daily Topics]ブロックチェーンの相互運用性を高めるBridge開発がなぜ重要か
これは感覚的に理解しやすいと思うのですが、ルールがたくさんあるとややこしいですよね。それはこのレイヤーでも同様で、ブロックチェーン間を繋ぐルールが3つも4つもあるとややこしいので、最終的には1つ、あって2つ程度に集約されると言われており、インフラの深い領域であるだけに他領域に比べても先行者有意が強く効いてきます。そのため、今からの参入ハードルははかなり難しい領域だと言えます。
COSMOSとPolkadotが繋がっていくかもしれないという話もありますし、ある程度先行して相互運用性の高い製品を提供しているプロダクトがあるのであれば、そこに競合しようとせずに並走し相互運用性を享受し既存コミュニティからユーザーと流動性を提供してもらった方が得になるインセンティブが働きます。
Briridge系のつよつよプロトコルも出てきているので今後の動向と注視していきましょう。
本日は以上です。
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