[Dfinity] Dmailの仕組み
Internet Computer(以下、IC)で開発中のDmailはGmailのような既存のメールボックス技術と分散型ブロックチェーン技術を融合させたメール管理とアセットの総合プラットフォームです。今までのブロックチェーンでは見られないメールとウォレットの融合は、これまでのウォレットをインターフェースとした送金や受信のあり方を変えて、トークンのユースケースを広げる可能性を秘めていると思います。プロダクトはローンチされておりませんが、チームが提供しているドキュメントとブログを中心にどういうサービスを目指しているのか探っていきたいと思います。以下、自分の妄想も少し入っていますので、間違えている場合は@mugeimunouまでご連絡ください。
目次
Dmailの仕組み
基本的に従来のメールボックスの使い方と変わりはありません。メール機能にICネットワークのトークン管理・送金等が出来るウォレット機能が追加されているだけです。機能をリストにすると、以下の通りです。
- 通信プロトコルはSMTPを利用。
- Dmailから他のメールクライアントに送信は可能。
- ICチェーンのDappsとなり、各メールは台帳canisterに暗号化されて保存される。
- Headerはチェーンにアップロード(オンチェーン)(ブログからそのまま引用、ちょっと良く分からない)
- BodyはDBcanisterに保存(bigMapで呼び出し)
- Privacy Transmisson(これは将来的にそうなるということと思われる)
- ドメイン取得
- ウォレット機能
- ICP・Cyclesだけでなく、SNS(Service Nervous System )を利用するDappsのトークンや今後統合されるBTC・ETHなども管理・送金が可能。
- 情報プッシュ機能(他ブロックチェーンのアドレスと同じ)
- SNSからのエアドロップ
- 他のDappsへのアクセス・ログイン
- Dmailのガバナンス機能(いずれトークンを発行)
なぜDmailなのか
基本的にweb3.0に対応したメール機能はそれほどありません。 調べた限り、ブロックチェーンを使った分散型メールDappsは以下の2つのサービスがあります。
どちらも分散型メールサービスですが、ledgerMailはメール送信は同じledgerMailのアドレスにしか送れず、AlterMailはプライバシー重視でIPFSにメッセージを暗号化して保存し利用者でないと読み取りが出来ない仕組みのため送受信ともAlterMailサービス利用者にしか出来ないようです。Dmailは従来型のメールアドレスにシームレスに送受信が出来る(添付ファイルを含む)ため、上記の分散型メールプラットフォームとは一線を画しています。
つまり、gmailやhotmailとの互換性を持ちつつ、web3.0に対応しているのがDmailということです。
ICチェーンの中ではDappsとユーザーをインタラクティブに繋ぎ、チェーンの外とはメール機能で繋がりを保つ。Dmailは現実世界とブロックチェーンのゲートウェイになるってことです。このブロックチェーンにはICが今後予定している BTC・ETHの統合 が含まれているためメジャーなブロックチェーンを網羅したICのゲートウェイとなるわけですので、その影響力は計り知れないと簡単に想像がつくはずです。
メリット
メールにトークンを添付して送信することはもちろん、Dappsのサブスクリプションの定期的な支払いやマイクロペイメント・ナノペイメントがメールプラットフォームから可能になるかもしれません。もちろん、これらはDmail上からだけでなく、ウォレットからでも出来ますが、Dappsからのプッシュ通知で設定、リンクを辿ると行った現行のメールの認証プロセスと同じ馴染みのあるやり方を踏襲出来て便利だと思われます。
また、IC特有のキーチェーン技術で分散型webアプリをホスティング出来る「パブリッククラウドサービス」(勝手に命名)なので、HENのように突然webサイトが管理者の思惑で閉鎖されるようなことを防止出来る自律的なサイト運営も可能です。例え資産が盗難されたり無くなったりするわけでなくても、UIが無くなれば大変迷惑な話ですから。
それにはDmailをDaoにしてサービスに継続性を担保するわけですが、フロントサイドのUIをコミュニティで支えるという今までにないwebサイトが誕生することになります。これは胸アツですよね。
デメリット
夢のようなインベーションですが、問題点として、以下の2点を掲げておきます。
- スパム・ボット対策は出来るのか?
- 他のDappsへのアクセスは本当に出来るのか?
従来型のメールサービスでは根本的なスパムを防止出来ずにフィルタリングによってなんとかやり過ごしているに過ぎません。十二分とは言えなくても従来型ならそれでも良いと思えますが、ウォレット機能が付くDmailではスパムメールに釣られてトークン送金をしてしまう被害が出る恐れがあります。discordがMetaMaskウォレットとの接続を断念したように、詐欺被害が拡大する懸念があります。
ただ、ICではInternet IdentityにKYCをせずに匿名を維持したまま、人間である証明をする企画があって大量のスパムをボット経由で送信するのが困難にすることも可能なようです。
他のDappsにアクセスする事が出来るのは、現状Internet Identityなので、Dmailでログインは不可能で直接アクセス出来ません。どういう意味で記載しているのか不明ですが、Internet Identity から一度アクセスしたDappsを他のDappsに紐付け出来るようにする提案はフォーラムで検討されています。これも時間の問題なのかもしれません。DmailのプラットフォームにDeFiのDappsをブックマークしてトークンの売買が出来るようになるように期待したいですね。
最後に
現在(2021/11/14)、エアドロップ対象のテストを実施中です。
自分のメールアドレスにDmailサイトから送信とSNSをフォローするだけですので、給付金狙いの方はやってみてはどうでしょうか?
詳しくは、こちら。