森とブロックチェーン(1) 謎の文字列
今日も暑い。まじで暑い。本当に日本の夏はどうなってしまったのだろうか。学士は今日も森の中に入り、養蜂師として巣の手入れをしていた。
こいつらも暑いだろうに。羽をフル回転させて幼虫を熱風から守っているとはなんて愛があるのだろう。いやこれはタダの遺伝子による種族の保護がそうさせているのだろうか。
学士は哲学者だ。いろいろ難しく考えてしまうことが多い。でもそんな彼も世俗を離れたこの森では軋轢を生むことはない。そして、彼は最近おもしろいものを見つけた。
ブロックチェーン
世俗を離れていた彼が最近ネットでブームだということを知りサトシ・ナカモトの論文を読んでその理論的な美しさに魅了されてしまった。
そしてネットの世界には彼のように魅了されてしまった人がたむろっている。かれはあっという間にネットワーク越しに多くの同胞を得たのだ。
2018年の夏、ビットコインの価格は低迷を極め多くのものが苦しんでいた。だが、学士のようなテクノロジージャンキー達は価格など気にせずその魅惑の美しい世界に魅了されていたのだ。
謎の文字列
ある日、彼はtwitterのDMで不思議なメッセージをもらった。それには謎の文字列が書き込まれているだけである
0x4a071EEe72Bc8664C81ofn83693eeD0d3ygdA82b
どう見ても怪しい。そしてこれはEthereumのウォレットアドレスであるこことも容易にわかった。学士はEtherscanというウォレットアドレスの中を除くことができるツールでそのウォレットをのぞいた。
そこには5,000,000ETHほどの残高があった。500億円ほどの金額だ。そしてこれはおよそETH全体の5%を占める
これを俺に伝えた奴はなんなんだ悔しがらせたいだけかよ。そして学士はtwitterで同志とBancorのことなどを話題にし、その日は寝た。
謎の文字列2
次の日また学士にDMが飛んできた。次の文字はこれだ。
f729731ec8e2c81a334fser9d12f686871d8cd99ba16fi895a84cc7f4b1d937a
学士はすぐにわかった。ETHの秘密鍵だ。だからなんだというのだ。ただ彼は気になった。同じやつが昨日はアドレスをそして今日は秘密鍵を。
今日はたまたま外は雨のため午前中で養蜂の作業を終え暇であったのでかれは暇つぶしにこの秘密鍵が使えるのかどうかパソコンで確認してみた
そこに示された残高は...
5,033,260ETH
そして彼のもつ秘密鍵はこの資産を動かす権利をもつものだ。学士は固まった。
500億円の価値 5,033,260ETH
この数字がPCの前の学士に重くのしかかる。タダの数字ではない。学士はこのイーサリアムという仮想通貨を好きなように売ることだってどこかに送金することだってできるのだ。
ただ、怪しすぎる。一体誰が送ってきたのだ。twitterの送信元を確認してみたが特に手がかりのあるような痕跡は見つからなかった。
彼はどうすればいいかわからないまま放置をして数日が過ぎた。また彼はふとそのアドレスの残高を確認した。
7,063,550ETH
ふ・増えている。さすがにこの増え方は異常だ。200億円ほど増えているのだ。さすがの学士も誰かに相談したくなった。
彼の友人で一番こういうやばいことに詳しい人と言えばやっぱり億ラビットくんだろう。
さすがにDiscordなどの誰でも覗けるところで相談するのは怖かったので彼は、億ラビットくんにDMをした。
億ラビットくんはベルリンに住んでいるので日本の朝の時間には捕まらない。しょうがないのでひと仕事、養蜂家としての責務を果たしてから彼と話すことにしよう。
と彼が森に入っていくと
爆発
バーーーー! 後ろのほうで大きな音がする。
マジか!!!
家が爆発しとる。。。。
どう考えたって俺はなにかまずい事件に巻き込まれている。
逃げるか。
どこへ逃げる。
彼はとりあえず森を降り軽トラで東京に向かった。東京であれば人混みに紛れられるし仮想通貨の同志も多い。なんとかなるだろう。
幸いなことにスマフォはポケットに入っていた。連絡も取れるはずだ。
...マミのとの再会