日本国内で海外取引所を使わずにICP(Internet Computer)を入手する方法
日本国内で海外取引所を使わずにICP(Internet Computer)を入手する方法
近年注目を集める暗号資産「ICP(Internet Computer Protocol)」ですが、日本国内の取引所では直接購入できない状況です。そのため、通常は海外の取引所を利用する必要がありました。しかし本記事では、海外取引所を一切使わずにICPを入手する方法を紹介します。国内の取引所で購入できるビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を活用し、ICPネットワークのChain Keyトークン(ckBTC・ckETH)を経由してICPを取得する方法を解説します。初心者にもわかりやすいようカジュアルなトーンで、手順をステップバイステップで説明していきます。
ICPとは?
**ICP(Internet Computer)**は、スイスのDFINITY財団が開発した新しいブロックチェーンプロジェクトです。世界中の独立したデータセンターによって構成される分散型インターネットクラウドを目指しており、ICPトークンはそのネットワーク上でガバナンス(投票)や手数料支払いに使われるネイティブ通貨です (インターネットコンピューター(Internet Computer/ICP)のリアルタイムチャート・価格・通貨詳細 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン))。簡単に言えば、ICPはインターネット上に分散型のクラウドコンピューティング環境を構築するためのブロックチェーンで、その基盤通貨がICPトークンになります。
ICPの特徴として、スマートコントラクト(「キャニスター」と呼ばれます)がウェブサービスを直接ユーザーに提供できる点や、高速・低コストでスケーラブルな処理能力を持つ点が挙げられます。またICPは他のブロックチェーン(例えばBitcoinやEthereum)と直接連携する機能も備えており、これによりckBTCやckETHといった「チェーンキー」トークンが実現しています。これらはそれぞれビットコイン・イーサリアムを1:1で裏付けしたICP上のトークンで、異なるブロックチェーン間のやり取りをスムーズにしてくれる仕組みです。
日本国内でICPを入手する方法(海外取引所なし)
冒頭でも触れたように、現在ICPは国内の暗号資産取引所で直接購入することができません。そのため、海外の取引所(例:Binanceなど)で取引するのが一般的でしたが、日本の規制上、海外無登録の取引所利用には注意が必要です。そこで登場するのがICPのマルチチェーン統合機能を使った方法です。具体的には、以下の流れでICPを取得します。
- 国内取引所でBTCまたはETHを購入する: まず日本の登録済み取引所でビットコインやイーサリアムを用意します。例として、ビットフライヤーやコインチェック、GMOコインなどで円からBTC/ETHを購入します。
- BTC/ETHをICP上のckBTC/ckETHに変換する: ICPブロックチェーン上では、BitcoinとEthereumを直接扱える「チェーンキー」技術があります。ビットコインはckBTC、イーサリアムはckETHというトークンに1:1対応で変換可能です。それぞれリアルなBTC・ETHに裏付けられたICPネイティブのトークンであり、この変換によりICPネットワーク内にBTCやETHの価値を持ち込めます。この仕組みを使い、用意したBTC/ETHをckBTC/ckETHにします。
- ICPと交換(スワップ)する: ckBTCやckETHを手に入れたら、ICP上の分散型取引所(DEX)でそれらをICPトークンにスワップ(交換)します。ICP上のDEXには、SonicやICPSwap、ICDexなどがあり、これらを使うことで中央集権的な取引所を介さずにトークン交換ができます。DEX上でのスワップはほぼリアルタイムかつ低コストで、例えばBTCとETH間の交換も数秒・数円程度の手数料で完了し、ガス代もほぼゼロです (日本代表団、スイスのDFINITY本部を訪れる 「Internet Computer」の革新性を解説)。
以上の手順を踏めば、海外取引所を使わずに国内の環境だけでICPを入手できます。それでは具体的なやり方を、BTC経由の場合とETH経由の場合に分けて見ていきましょう。
具体的な手順:BTC→ckBTC→ICP
まずはビットコインを使ってICPを取得する流れです。概略は「国内取引所でBTC購入 → BTCをckBTCに変換 → ckBTCをICPに交換」となります。以下に詳しく手順を説明します。
● 準備:ICP公式ウォレット(NNS)の用意
ICPを扱うために、まずICP公式のウォレットである**NNS(Network Nervous System)アプリを準備します。NNSはウェブブラウザ上で利用できる公式のICP管理ツールで、ICPトークンはもちろん、ckBTCやckETHなどICP上の様々なトークンを管理できます。NNSの利用にはインターネットアイデンティティ(Internet Identity)**という認証を作成する必要がありますが、これはメールアドレス不要でブラウザで数クリックで作れるIDです。NNSアプリ(https://nns.ic0.app)にアクセスし、指示に従ってインターネットアイデンティティを作成・ログインしましょう。
ログイン後、NNSアプリ内の「My Tokens(マイトークン)」欄でICPやckBTCなどのアカウントが表示されます(初めての場合、自分のICPアドレスが生成されます)。これでICPネットワーク上のウォレットが準備できました。
● ステップ1:国内取引所でBTCを購入
お好みの国内取引所でビットコインを購入します。既にBTCを持っている場合はこのステップは不要です。ビットコインは少額から購入可能なので、今回はテストを兼ねて少量(例えば0.001 BTC程度)購入してみるのも良いでしょう。購入後、そのBTCを自分の取引所アカウント内のウォレットで確認します。
● ステップ2:BTCをckBTCに変換(預け入れ)
次に、そのビットコインをICPネットワーク上のckBTCに変換します。これはICPのBitcoin統合機能を利用して行います。NNSアプリを開き、「My Tokens」の中からckBTCを選択しましょう。ckBTCアカウント画面で「受け取り(Receive)」ボタンをクリックし、表示されるタブで「Bitcoin」を選びます。すると、自分専用のBTC入金用アドレスが表示されます(QRコードも表示可能)。このアドレスこそ、ICPのスマートコントラクト(ckBTCミンター)が管理するビットコインアドレスです。
そのBTCアドレス宛に、先ほど国内取引所で購入したビットコインを送金します。送金方法は取引所の「送金」機能でアドレスを指定し、出金額を入力して実行します。アドレスの入力間違いがないよう、コピーペーストかQRコード読み取りを活用してください。一度送ったBTCは基本的に取り戻せないので、特に手入力は厳禁です。必要であれば少額でテスト送金し、問題ないことを確認してから残りを送ると安心です。
ビットコインを送金したら、**約12回の承認(ブロック承認)**が完了するまで待ちます。BTCネットワークで12承認というと、およそ2時間程度です(混雑状況によります)。NNSのckBTC画面で適宜「Refresh Balance(残高更新)」ボタンを押すと、新しいckBTC残高が反映されます。無事に送金が完了し承認されると、送ったBTCと等価のckBTCがNNSウォレット上に表示されます。例えば0.001 BTC送ったなら、手数料を差し引いたほぼ0.001 ckBTCが手に入ります。
※ckBTC変換時の手数料については後述しますが、ビットコイン送金時のネットワーク手数料以外に、ckBTCミンター側でごく僅かな料金(数十サトシ程度)が差し引かれます。
● ステップ3:ckBTCをICPにスワップ(DEXで交換)
NNS上でckBTCが入手できたら、いよいよそれをICPトークンに交換します。これにはICP上の分散型取引所(DEX)を利用します。代表的なICP対応DEXにはSonic(Sonic公式サイト)やICPSwap(ICPSwap公式サイト)があります。これらはUniswapのような自動マーケットメイカー型のDEXで、ブラウザ上でウォレットを接続してトークンスワップを行います。
具体的な手順として、例えばSonicを使う場合は:
- Sonicのサイトにアクセスし、「Connect Wallet(ウォレット接続)」をクリックします。ICPのウォレット接続方法はいくつかありますが、Internet Identityで接続するか、もしくはPlugウォレット等のICPウォレット拡張機能を使って接続します。NNSでckBTCを持っている場合、そのアカウント(principal)でInternet IdentityにログインすればSonicに接続可能です。あるいは、NNSから自分のckBTCをPlugウォレットに送金しておき、Plug経由でSonicに接続する方法もあります。
- Sonic上で接続が完了したら、スワップ画面で「From(元)」にckBTC、 「To(先)」にICPを選択します。
- スワップしたい数量を入力し、レートを確認します。初めて小額を試す場合は、例えば0.0005 ckBTCをICPに交換、といった形でやってみると良いでしょう。
- 問題なければ「Swap」実行し、トランザクションを承認します。数秒待つと取引が完了します。
SonicやICPSwapでは、ckBTCとICPのペア交換がサポートされており、スムーズに取引できます。交換後、自分のICPウォレットにICPトークンが入金されます。おめでとうございます、これで海外取引所を使わずにICPを手に入れることができました!
※DEXでのスワップには取引手数料がかかります(Sonicでは交換額の0.3%程度が流動性プロバイダへの手数料として差し引かれます)。しかしICPブロックチェーン上の取引はガス代がほぼかからないため、合計コストはごくわずかです。詳細は後述の「手数料や注意点」で説明します。
具体的な手順:ETH→ckETH→ICP
続いて、イーサリアムを使ってICPを取得する方法です。基本的な流れは先ほどのBTCの場合と似ていますが、ckETHへの変換の手順が少し異なります。現在ICPのEthereum統合は「フェーズ1」と呼ばれる段階にあり、NNSアプリ上で直接ETH入金用アドレスが表示されない仕様になっています。そのため、公式が用意したヘルパーコントラクトを利用してETHをckETHに交換する手順をとります。
● 準備:ICPウォレットの用意
基本的には前述のBTCの場合と同様、NNSなどICPのウォレット環境を用意します。すでにNNSをセットアップ済みであれば同じウォレットにckETHも受け取れます。あるいはPlugウォレットなどでもckETHを受け取ることが可能です。ここでは引き続きNNSウォレットを使う前提で説明します。
加えて、イーサリアムを送金するためにMetaMaskなどのEthereumウォレットも準備してください。MetaMaskをブラウザにインストールし、自分のETHを管理できる状態にしておきます(国内取引所で購入したETHをMetaMaskに送っておくか、取引所から直接コントラクトに送金する方法もありますが、安全のため一度自分のウォレットに入れてからの方が良いでしょう)。
● ステップ1:国内取引所でETHを購入
こちらもまず日本の取引所でETHを入手します。購入後、MetaMaskなど自分の管理するウォレットにそのETHを送金しておきます。MetaMaskへの送金方法は取引所から出金アドレスに自分のMetaMaskアドレスを指定すればOKです(ガス代と取引所の出金手数料がかかります)。
● ステップ2:ICP側の受取用アドレス(Principal)の確認
ETHをckETHに変える際には、自分のICPウォレットの識別子(Principal IDもしくはアカウント識別子)が必要になります。NNSアプリを開き、自分のアカウントIDを確認しましょう。NNSの「Account(アカウント)」画面で「...」メニューからアドレス(64文字の文字列)を表示・コピーできます。これはICPネットワーク上であなたを示すアドレスで、ckETHを受け取る際に指定します。
● ステップ3:ETHをckETHヘルパーコントラクトに送金
DFINITY(ICP開発元)が提供するckETHヘルパーコントラクトにETHを送ることで、自分のICPアドレスにckETHを発行してもらいます。ヘルパーコントラクトのアドレスはイーサリアムメインネット上で以下になります:
0x7574eB42cA208A4f6960ECCAfDF186D627dCC175
このアドレスに対し、自分のICPアドレスを紐付けてETHを送金します。具体的な手順としてはEtherscanのサイトを使う方法が比較的わかりやすいです:
- Etherscanで上記のコントラクトアドレスのページを開き、「Write Contract」(コントラクトを書き込む)タブに移動します。MetaMaskをEtherscanに接続し、自分のアドレスで書き込み操作できるようにします。
- コントラクトの関数一覧から「deposit」という関数を見つけます。この関数は引数に
to
(送り先ICPアドレス)を取るようになっています。 to
の欄に、**自分のICPのPrincipal(またはアカウント識別子)**を入力します。正式にはPrincipal IDを16進数にエンコードした文字列を入れる必要があります。もしMediumの記事など具体的な手順ガイドを参照できる場合は、それに従ってください(DFINITY公式ブログでもckETH取得方法が紹介されています)。自信がない場合、[ICP公式サポート記事]に掲載されているやり方を確認しましょう。Payable
な関数なので、送るETHの数量を指定します(自分がckETHに変換したい分のETHを入力)。例えば0.1 ETHをckETHにしたいなら、0.1 ETH相当を指定します。- MetaMaskでガス代などトランザクション内容を確認し、送信を実行します。
この操作により、コントラクトにETHが送られると同時に、自分のICPアドレス宛に同量のckETHがミント(発行)されます。ガス代にもよりますが、イーサリアムのトランザクションが承認され数ブロック確認されれば完了です。
しばらく待ってから、NNSアプリの「My Tokens」でckETHの項目を確認してみましょう。入金が反映されていれば、先ほど送ったETHと同等のckETH残高が表示されているはずです(手数料分わずかに減っている可能性があります)。もし表示されていなければ、「Refresh Balance」を押すか、少し時間をおいて再度確認します。正常に処理が完了していればckETHの入手成功です。
※ETH→ckETHの変換では、Ethereum側でのネットワーク手数料(ガス代)が発生します。ガス代はネットワークの混雑状況によって変動しますので、トランザクション送信前にMetaMaskが表示する予測手数料を確認してください。また、ckETHミンター側でもごく少額の手数料が差し引かれる可能性があります(具体的な額はDFINITYから正式には公表されていませんが、ckBTC同様に極めて小さい手数料であると思われます)。
● ステップ4:ckETHをICPにスワップ
ckETHを取得できたら、あとはこれをICPに交換するだけです。基本的な流れは先ほどのckBTCの場合と同様、ICP上のDEXを使います。SonicやICPSwapではckETH/ICPの取引ペアも提供されていますので、好きなDEXでスワップしてください。
例えばICPSwapを使う場合:
- ICPSwapのサイトにアクセスし、ウォレット接続(Connect Wallet)を行います。こちらもInternet IdentityまたはPlugウォレットで接続可能です。
- スワップ画面で「From」にckETH、「To」にICPを選択します。
- 交換したい数量のckETHを入力し、レートを確認して「Swap」を実行します。
- 数秒~数十秒待てば取引完了し、自分のICP残高が増えているはずです。
これでETH経由でもICPを入手できました。BTC経由と同じく海外の集中型取引所は一切介していませんので、規制面でも安心です。
手数料や注意点
最後に、このプロセスを実行する際の手数料や注意すべきポイントを整理します。
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国内取引所の出金手数料: 日本の取引所からBTCやETHを外部に送る際には所定の送金手数料がかかります。例えば、コインチェックではBTC送金手数料が0.001 BTC、ETHは0.01 ETHに設定されています。ビットフライヤーの場合、BTCが0.0004 BTC、ETHは0.005 ETHといった水準です。金額にすると数千円前後(相場次第)になるため、出金額が少なすぎると手数料負担が大きく感じられるかもしれません。取引所によって手数料は異なりますので事前に確認しておきましょう。
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BTCをckBTCに変換する際の手数料: ビットコインをckBTCにするプロセスでは、ビットコインネットワークの送金手数料(マイナーへの手数料)がまず発生します。これは送金時に自分で指定するか取引所側で自動設定されます。また、ICP側のckBTCミンターでもごく小さな手数料が差し引かれます。DFINITYの発表によれば、ckBTC取引の手数料は**0.0000001 BTC(=10サトシ)**程度と非常に低く設定されています。実際、ユーザーがBTCを預け入れた場合は同等量のckBTCが手数料分を差し引いて発行されます。例えば0.1 BTCを送った場合、理論上は0.0999999 BTC相当のckBTCが受け取れる計算です(ネットワーク手数料は別途差し引かれます)。
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ETHをckETHに変換する際の手数料: イーサリアムの場合、ネットワークのガス代が変換コストのメインになります。ETHをヘルパーコントラクトに送る際にガス代が発生し、その額は送金時のEthereumの混雑状況で変動します。目安として数ドル(数百円)から、高騰時には数千円になることもあります。なるべくガス代が安いタイミングを狙うと良いでしょう。ckETHのミント自体には明確な固定手数料はアナウンスされていませんが、わずかな手数料がかかる可能性はあります。とはいえETHの場合、ガス代の方が遥かに大きいため、そちらを重視すればOKです。
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DEXでのスワップ手数料: ICP上のDEX(SonicやICPSwap等)でスワップを行う際、取引量に応じた手数料がかかります。一般的には0.3%前後が流動性提供者への手数料として設定されており、これは取引実行時に差し引かれます。例えば1 ICP相当を交換するなら0.003 ICP程度が手数料です。また価格スリッページも考慮しましょう。大量のckBTC/ckETHを一度に交換するとレートが影響を受ける場合があります。少しずつ分けてスワップするか、事前にDEX上の流動性(板の厚み)を確認することをおすすめします。なお、ICPブロックチェーン自体のトランザクション手数料は非常に安価(数円以下)でガス代も不要に等しいため、ETHのように「取引ごとに数百円以上のガスがかかる」という心配はありません。
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変換や送金の所要時間: ビットコインの入金(ckBTC変換)はブロック承認に時間がかかるため、1~2時間程度の待ちを見込んでください。一方イーサリアムの入金(ckETH変換)は、ネットワーク次第ですが数分~10分程度で反映されることが多いです。DEXでのスワップはほぼリアルタイム(数秒)で完了します (日本代表団、スイスのDFINITY本部を訪れる 「Internet Computer」の革新性を解説)。慌てずにそれぞれの工程を待ちましょう。
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アドレス間違いに注意: 繰り返しになりますが、送金アドレスやPrincipal IDの入力ミスだけは絶対に避けてください。特にETH→ckETHでPrincipalを入力するときは、一文字でも違うと別人のアドレスになってしまいます。可能な限りコピー&ペーストを使い、前後に余計なスペースが入らないよう注意します。BTCアドレスやETHコントラクトアドレスも同様です。QRコードが利用できる場合は積極的に活用しましょう。
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少額テストのすすめ: いきなり大金を動かすのはリスクがあります。初めてこの方法を試す場合、ごく少額で一連の流れをテストしてみることを強くおすすめします。例えば0.0002 BTCや0.01 ETHなどで試し、ckBTC/ckETH変換やDEXスワップが問題なくできるか確認しましょう。うまくいけば残りの主要額を実行すれば安心です。少額とはいえ実際にやってみることで手順に慣れ、本番でのミスを減らせます。
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セキュリティと自己責任: この方法では自分自身が資産の管理者となります。NNSのインターネットアイデンティティのシードフレーズやバックアップは忘れずに安全な場所に保管してください。Plugウォレット等を使う場合も同様です。万一ウォレットへのアクセス手段を失うと資産も移動できなくなります。また、DEXの利用も自己責任で行いましょう(とはいえICP上のDEXはフロントエンドも含め完全オンチェーンで動作するものが多く、比較的安心して使えます)。基本的に本記事で紹介した公式の仕組み(NNSや公式コントラクト、主要DEX)を利用する限り大きなトラブルは考えにくいですが、常に詐欺サイトや偽のコントラクトには警戒してください。
以上の点に注意しつつ手順を踏めば、さほど難しい作業ではありません。少し手間はかかりますが、その分海外取引所を介さず安心してICPを入手できるメリットがあります。
まとめ & よくある質問(FAQ)
この記事では、日本国内で海外の仮想通貨取引所を使わずにICPを取得する方法を解説しました。ポイントをまとめると以下の通りです。
- ICPはどんな通貨? … 分散型クラウドを実現するブロックチェーン「Internet Computer」のネイティブトークン。ガバナンスや手数料に使われる (インターネットコンピューター(Internet Computer/ICP)のリアルタイムチャート・価格・通貨詳細 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン))が、日本の取引所では未上場。
- 海外取引所なしで取得するには? … 国内取引所で購入可能なBTCまたはETHを利用し、ICP上のckBTC/ckETHに変換してDEXでICPに交換する。公式の機能を使った方法なので違法性もなく安心。
- BTCルートとETHルートの違い … BTCルートはNNSで直接アドレス発行でき、手順がシンプル。ETHルートは公式コントラクトを使う手間があるが、処理時間が短め。手持ちの状況や手数料を考慮して選べる。
- 手数料はどれくらい? … 国内取引所の出金手数料(数百~数千円相当)、BTC/ETH送金時のネットワーク手数料、ckBTC/ckETH変換時の微小手数料、DEXのスワップ手数料(0.3%程度)がかかる。ICPネットワーク内の手数料はごく僅か。
- 所要時間は? … BTC経由なら1~2時間程度、ETH経由なら数分~数十分程度でICPを入手可能(DEX交換時間含む)。
- 安全に実行するコツ … アドレスのコピペ徹底、少額テスト、ウォレットのバックアップなど基本を押さえれば問題なく実行できる。
Q. 最終的にどの方法(BTC経由 or ETH経由)でICPを入手するのが一番おすすめですか?
A. 人によりますが、初心者にはBTC経由をおすすめします。理由は、NNS上で完結でき手順が分かりやすいことと、BTC入金アドレスをコピペするだけで変換できる点です。ETH経由も難しくはありませんが、スマートコントラクトへの直接送金など少しテクニカルな作業があります。ただし、既にETHを持っている場合やMetaMaskの扱いに慣れている場合はETH経由でも問題ないでしょう。ガス代が低ければETH経由の方が速く終わる利点もあります。要は手持ち資産と慣れで選んでOKです。どちらのルートでも最終的に得られるICPに違いはありません。
Q. 本当に海外の取引所を使わなくて大丈夫ですか?この方法は合法なのでしょうか?
A. 大丈夫です。この方法では海外の集中型取引所(CEX)を一切使いません。国内取引所(金融庁登録済み)での売買と、自主運用ウォレット間の暗号資産送受信、そして分散型取引所(DEX)の利用だけです。日本国内の規制では、無登録業者である海外取引所での取引が問題視されるケースがありますが、DEX利用については自己責任で行う限り違法ではないと解釈されています。また、ICPのckBTC/ckETH変換はICPプロトコルの公式機能であり、第三者に資産を預けるわけではないので安全です(スマートコントラクトとネットワークそのものを信頼する形になります)。もちろん法律の解釈が今後変わる可能性はありますが、2025年2月現在においてこの方法自体が禁止されているわけではありません。
Q. 初心者でも本当にできますか?うまくいかなかったらどうすればいいですか?
A. 手順自体はシンプルですが、初めてだと難しく感じる部分もあるかもしれません。本文でも触れましたが、まずは少額で試してみるのが良いでしょう。幸い数千円分でも一通りの流れを体験できます。また、不安な場合はコミュニティで情報収集するのも手です。ICP公式フォーラムやTwitter、Discordなどで日本人ユーザーの事例を探してみたり、疑問点を質問してみると有用なアドバイスが得られることがあります。最終的には自己責任の世界ですが、公式ドキュメントや信頼できる情報源を確認しながら進めれば、初心者でも十分に成功できるでしょう。
海外取引所を使わずにICPを入手する方法を解説しましたがいかがだったでしょうか。少し手順は増えますが、この方法を活用すれば日本にいながらICPエコシステムに参加できます。将来的に国内取引所でICPが上場される可能性もありますが、それまでは今回紹介したルートが有力な選択肢となるでしょう。ぜひ慎重に手順を踏みつつ、ICPの世界に触れてみてください。ICPを入手できたら、NNSでステーキングしてみたり、ICP上の様々なDAppを試してみるのも面白いですよ。あなたのICPデビューの参考になれば幸いです!
参考資料:
- DFINITY公式サポート「Ethereum統合とckETHについて」
- CoinDesk JAPAN「インターネットコンピューター(ICP)解説」 (インターネットコンピューター(Internet Computer/ICP)のリアルタイムチャート・価格・通貨詳細 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン))
- CoinPost「ICPのBTC/ETH統合記事」 (日本代表団、スイスのDFINITY本部を訪れる 「Internet Computer」の革新性を解説)
- DFINITYブログ「ckBTCの紹介」
- Internet Computer公式「DeFi概要(マルチチェーンスワップ)」
- ICP開発者フォーラム「ckBTC/ckETHの使い方に関するQ&A」
- 国内取引所公式情報(コインチェック手数料ページ等)