Avacus株式会社とは ≪前編≫ 事業概要とAvacusコミュニティ紹介
こんにちは、Avacusが登壇したオンラインピッチイベントでの内容やそのほかをもとに、Avacusのこれまでとこれからを前後編に分けてまとめていきます。
今回はAvacus株式会社の概要と自社サービス「Avacus」について、そしてAvacusのエコシステムに生息するユーザーの多様なライフスタイルや、Avacus活用の実例をご紹介します。
はじめに
Avacus株式会社は2019年に設立された、ブロックチェーン技術と暗号資産をコアリテラシーとするイノベーション創出カンパニー。
自社サービスである「Avacus(2017年12月26日~)」が代表的なサービスとして知られますが、この春には新サービス「Signr」がリリース予定となっており、そちらにも注目です。ほかにも開発チームによるシステム・アプリケーション受託開発やブロックチェーン技術研究開発、新規トークンビジネス立案が事業の柱となっています。
運営・開発
代表のまつかぶ氏は、もともとTwitterの株クラスタで発信していたトレーダー。7年間で元手の200万円を4億円にも増やしたという才覚と、その全資産4億円をまるまるAvacusの初期開発に投じるという型破りな奇想天外さが皆に愛される、誰よりAvacusを確信しAvacusに賭ける心優しきエキセントリッククレイジーボーイ。
今回のプレゼンテーションの中で特に驚いたのは、CTOの高原氏率いる開発チームがなんと30人規模の(この規模の開発部隊は世界でも数少ないそう)ブロックチェーンラボが動いているということ。業界内でもずば抜けて速いと評される爆速での開発スピードの理由がここにありました。
問題意識とビジョン
本来、ビットコインをはじめとする暗号資産は、インターネット上のデジタルな通貨として「マイクロペイメント」や「国際送金」といった領域において強烈なイノベーションを起こしうる画期的なシステムで、法定通貨では解決不可能とされてきた問題(送金手数料の高さや煩雑な手続きなど)から人々を開放するポテンシャルを持ちうるものです。
暗号資産が本来の潜在性を発揮できるよう、投機以外でのユースケース創出を目的に設計・開発されたAvacusは、暗号資産を日常に"使える"ものとして取り入れた新しいライフスタイルを提案しています。
事業内容
AvacusはShop(Amazonのお買い物)・Ask(クラウドソーシング)・Pay(送金サービス)・Bazaar(フリーマーケット)の4サービスをメインに、暗号資産を"通貨として"暗号資産のままで取引できるのが特徴のCtoCマッチングサービスです。
決済通貨として利用できる暗号資産は、Bitcoin・BitcoinCash・Dai・ALISそしてAvacusの独自トークンであるVACUSに対応しています。
メールアドレス一つで無料ユーザー登録ができ、取引所で口座開設するような煩雑で時間と手間のかかる申請を必要とせず、今すぐに暗号資産取引をスタートすることができます。※国内での新規ユーザー登録は一時停止中
ユーザー数は海外を中心に14,000人超となっており、昨年4月にShopの競合サービスにあたる「Purse.io」のクロージング宣言(現在は撤回し運営継続)を機に大量に流入した形となっています。
サイトは日本語・英語・ベトナム語、ポルトガル語など多言語をサポートし、各国のAmazonマーケット(JP・US・CA・UK・DE)に対応済み。世界中のユーザーが利用する暗号資産のグローバルプラットフォームとして急成長を続けています。
Avacus株式会社は、2017年にサービスインしたAvacusより以前には2014年から暗号資産やブロックチェーン技術の研究開発およびビジネス立案を行ってきたチームです。
ブロックチェーン業界的には古参にあたり、長年のノウハウをもとに個人・企業・団体問わず包括的なソリューションを提供しています。
Avacusというライフスタイル
Shop
Amazonのほしい物リスト機能を活用し、暗号資産を手軽に入手したい人と暗号資産をつかってお買い物をしたい人をマッチングする匿名のマーケットプレイス。
お買い物をしたい人にとっては、割引価格にてAmazon価格よりもお得にアイテムを購入できることが大きな魅力です。
暗号資産を手に入れたい人にとっては、販売所で不利なレートで購入したくない場合や、実質的にクレジットカードやギフト残高をつかって暗号資産を購入したい等の要望に応えるものとして当初から根強く支持されているサービスです。
Ask
簡単な頼み事から本格的なビジネスの業務発注まで、活用幅の広さが特徴のユニークなクラウドソーシング。今後は日本企業のマイクロタスク発注先としての展開見込みがあり、可能性が期待されています。
Pay
取引条件に応じて4つの送金手段から選択できる、送金機能つきSNS
- Trust Pay 1ステップで即時送金、投げ銭などにも活用されている
- QR Pay 決済ごとにQRコードが生成され、スマホで読み込むだけでクレジットカードと同等速度での支払いを実現
- Request Pay 特定の相手に特定の金額で暗号資産の請求を送ることができる
- Escrow Pay 条件を満たすまで仮払いの状態にし、両者の安全性をエスクローが担保
Bazaar
出店料無料で誰でも簡単に出品でき自分のネットショップを持てる、暗号資産版メルカリのようなフリマサービス
不用品だけでなく、農産物やオリジナルグッズ、デジタルデータなど、ユーザーの自由な発想で活用が広がっています。
唯一無二のユニーク性
各サービスを個々に切り取って着目すると国内外にも同等の他社サービスは存在しますが、Avacus最大の特徴はすべてのサービスを1つのウォレットでシームレスに利用できる点にあります。ユーザーはShopping・Ask・Pay・Bazaar各サービスを複合的に組み合わせることによって、暗号資産を法定通貨へエクスチェンジする必要なく"通貨"としてエコシステム内で獲得・消費できるようになります。
それでは、実際にユーザーたちはどのように暗号資産やAvacusを活用しているのでしょうか。
Avacusの活用実例と多様なコミュニティ
こちらはAvacusAskを活用してワークスタイルの効率化に成功し、パラレルワーカーとしての働き方を確立したユーザーの例です。
Avacusを活用するメリットは単に「暗号資産を使える」というだけでなく、オンライン上の個人間取引における安心・公平が、セキュアなシステムによって担保されているという点にもあります。
たとえばAvacusAskでは自由に仕事を定義することができ報酬もごく少額から送金することが可能です。ワーカーが作業している間、報酬は仮払い(エスクロー)の状態になっているため、双方が不履行リスクの心配をせずに取引を進めることができます。
こちらはクリエイターのスキルを活かして副業や創作活動の対価として暗号資産を稼ぐユーザーの例です。
まつかぶ氏はプレゼンテーションの中で、Avacusの世界観について「"暗号資産で仕事をする"と言っても、日常的にアバカスに浸かる必要は全くなく、実社会や法定通貨とはかけ離れた場所にもう一つの世界があるといった感覚。参加する人は本名を名乗る必要もないし、ほかの人とコミュニケーションを取っても取らなくてもいい。そんなゆるい世界でもう一つの暮らしがあったらいいな、と僕自身も思っている」というようなことを語っていましたが、言われてみるとことAvacusに参加しているユーザーは、副業として暗号資産を得ているという人が多いかもしれません。
実社会ではお互いに出会うことがないであろう、異なるスキルや性質をもった人達がAvacusというネットの世界で出会うことで新しいビジネスが生まれたり、これまでにない創造性が発揮されたり。そういったコミュニティの化学反応もAvacusの奥深さであり魅力であります。
コミュニティには有志がAvacusの名前を冠して活動をおこなっているプロジェクトがいくつかあり、Avacusはこのようなユーザーの有志活動を奨励(但しAvacusの名前とロゴを使用する際は要申告)しています。
「AVACUS FARM」は、規格外でこれまで廃棄するしかなかった農産物に対し暗号資産で価値を付与しようという取り組みです。規格外農産物とは定められた規格に当てはまらず市場に出荷できないものを指す呼びかたで、味や栄養に違いがないにもかかわらずそのほとんどが廃棄されています。「捨てるくらいなら安く売ればいいのに」と思うかもしれませんが、そういうわけにはいかない事情もあります。たとえばスーパーで見た目が綺麗な定価の規格品とちょっと形は悪いけど味が変わらない規格外品がならんでいたとすると、消費者の多くは安い方を選びます。すると規格品の売り上げが落ち込んでしまい、全体の価格相場が崩壊する懸念がある。規格外品が過剰に流通することで市場そのものの値崩れが起こってしまうよりは「捨てた方がまし」となるわけです。
そこで、規格外品が消費者の手に届くまでの経路を、円=法定通貨とは切り離された暗号資産の世界つまりAvacusにおいてみてはどうでしょうかというのがこの取り組みのポイントです。これであれば法定通貨での市場価格には影響を与えずに、価値があるものには相応の価値をつけることができます。
「これまで価値がないとされてきた、あるいは価値をつけることができなかったものに価値を付与する」これはまさに暗号資産やトークンが得意とする分野です。世間一般では投機は悪という風潮が根強くあり、なかでももっとも投機的な金融商品として扱われることの多い暗号資産ですが、このように既存の社会課題に対し暗号資産で解決しようというさまざまな活動がAvacusコミュニティの中で自発的に行われているということをもっと知ってもらえたら、暗号資産の印象も少し変わるのではと思います。
こちらはこのコロナ禍にAvacusを活用してビジネスチャンスに転換させた高級焼肉店の例です。
Avacusのユーザー層は高所得者や投資家も多く、彼らが友人や家族を連れて来店するということはそれだけで新規客獲得の良い機会となります。AvacusBazaarを活用したこの施策はO2O(Online to Offline)マーケティングとして大成功しました。
海外のユーザーが入ってきたことで、少しずつ日本ユーザーと海外ユーザーの交流やビジネスも生まれています。
この例では、一つの制作で役割を分担、細分化して発注されています。こういった発注の仕方は既存の法定通貨の世界では成し得なかったもので(やろうとすると報酬よりも送金コストのほうが上回ってしまうでしょう)暗号資産ならではと言うことができます。
知らない人とのビジネス、特にオンラインでのやり取りには「報酬がちゃんと支払われるか不安」「成果物や品物を受け取れるか不安」「不履行や未払いが発生しないか不安」と多くの不安がともなうものですが、エスクローシステムが取引の安全性を担保します。
暗号資産を活用すれば、新興国に居住していてたとえ銀行口座を持っていなくても、自国の通貨が不安定でも、他の人と同じ条件で平等に仕事をして同じ報酬を得ることができます。日本人にはリアリティのない話かもしれませんが「世界のどこに住んでいる誰であっても誰とでも公平な条件で取引をする」という、そんな当たり前のように思えることが暗号資産より以前の世界では不可能でした。
新しい応援の形
これまで「出資を募る」ことは容易なものではないというのが従来の考え方でした。暗号資産のマイクロペイメントなら、ごく少額からの投げ銭や小口からの調達が簡単にできます。たとえばAvacusPayの個人用QRコードを添えてSNSなどにアピールを投稿すれば、活動に共感した人が支援してくれるかもしれません。Avacusを活用することで誰でももっと気軽に支援を募る・支援を受けることができるようになります。
有名人への応援についてもこれまではいつも一方的なものでした。手の届かないアスリートやアーティスト、アイドルなど憧れの存在に、グッズ購入などで応援してきたという経験のある人も多いと思います。暗号資産を活用すれば直接、憧れの人のスポンサーになることができ、さらにAvacusなら「贈った商品と同額分の暗号資産」を対価として受け取ることができます。これまでファンがなにか贈り物をしても対価や報酬をもらえることはありませんでしたが、ここでも「これまで価値がつかなかったものに価値を付与できる」という暗号資産の利点が生かされています。
元ラグビー日本代表で現在プロラグビー選手の長江有祐さんは「Avacus Sports」と名づけた活動をスタートさせました。暗号資産を活用したラグビー普及活動および選手育成、引退した選手のセカンドキャリアサポートといった新しい取り組みは業界の話題となり、ラグビー現日本代表選手らもTwitterで拡散し1500を超えるいいねがつくなど大きな反響が寄せられ、暗号資産にふれたことのない一般層からも注目を集めました。
AvacusのShop機能ではAmazonのほしい物リストを連携させる必要があるため、選手からすると「本当に欲しいものや必要なもの」をリクエストすることができ、ファンとしても自分が贈ったものを確実に選手が喜んでくれたり、使ったり身につけてくれるので嬉しいですし、対価として暗号資産を得られることも他にはないメリットです。熱狂的なファンであればその受け取った暗号資産をさらに選手に投げ銭して二重に応援するといった使い方もできますね。
こうした取り組みはeスポーツにも広がりを見せ始めています。REJECTは、いち早くAvacusを活用した投げ銭を取り入れたチームです。
暗号資産の致命的な欠点
このように、暗号資産は明らかに送金の常識を変える革新的なシステムです。銀行を仲介する必要がなく、高い手数料も時間もかからず世界中どこにいても24時間365日いつでも送金できて10分ほどで着金するなんていうことはこれまでの世界では考えられないことでした。このような特徴から投げ銭や寄付とも非常に相性が良いものですが「結局、法定通貨に換金しなければ使い道がない」という欠点に直面します。暗号資産を暗号資産のままで消費することができるAvacusは、その欠点の解決に不可欠なサービスです。
まとめ
国内でAvacusというとユーザーはそれほど多くなく(とは言えSNSやコミュニティで発言・発信をしていないユーザーも沢山いますが)基本的には「知る人ぞ知る」的なサービスであると言えるかと思います。というのもAvacusはこれまで戦略的な判断から現在までに広告出稿を行っておらず、口コミによる評判のみでユーザー数を伸ばし続けてきたからです。マーケティング戦略についてまつかぶ氏は「"暗号資産を生活の中で使う"というのは今までになかった新しい文化であるため、この新しいライフスタイルを一緒につくり文化を深め生態系を広げていく"コアユーザー"といった人達をまずは作りたいという狙いがあった」と明らかにしています。これは個人的見解ですが、規制面への配慮からも目立ちたくないといった意図もあったのではと思っています。
しかし今回のプレゼンテーションを見て、「Avacusは徐々に大きく拡大していくフェーズに入ってきているんだな」と感じました。今コミュニティにいる「コアユーザー」のみなさんといっしょに、もっと発信を増やしながら、いよいよ大きく羽ばたこうとしているAvacusを変わらず、これまで以上に、応援していけたらなと思っています。
長くなりましたが、Avacusはローンチから3年の間で本当に多くのアップデートやリリースでユーザーを楽しませ続けてくれていて、その歴史は短文で語り尽くせるものではありませんので記事の長さについてはご容赦ください。それでは前編はここまでとします。最後までお読みいただきありがとうございました。後編ではこの春リリース予定の新サービス「Signr」や今後の展開についてまとめていきますのでお楽しみに。