【掌編】降羊
東雲いづる⋈Izuru Shinonome
3 years ago
「一週間早ければ間に合ったのに……」
空から大量の羊が降り注いだのは、私たちが息子を二人平らげた後だった。
普段は暦どおりに降羊(こうよう)が発生するのだが、今年は一か月の大遅刻となった。一度の降羊は島の住人四か月分の食料だ。
この季節は外界との行き来が出来なくなる。だから降羊がなければ飢える。ただそれだけのこと。
ともあれ、羊は来た。
待ちきれず餓死や自殺で二割ほど人口が減ってしまったけれど。
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