死と向き合い続けている俳人の方の俳句をNFT化しました

まずは謝らせてください。キャッチーなタイトルにしようとするあまり、死という言葉を軽率に扱っているような印象になってしまっていたら読んでいただいている方にも、俳人の方にも申し訳ないです。

少なくとも私が死という言葉を扱うのは軽く聞こえてしまうかもしれません。ただ俳人の方、菊池洋勝さんは文字通り死と向き合い続けている方です。

菊池さんは先天性ジストロフィーという病とともに生を受けました。それは筋機能が上手く働かない病で、様々な合併症を引き起こします。呼吸機能障害、心筋障害、嚥下機能障害、消化管症状などです。菊池さんはいま呼吸器をつけています。

菊池さんの俳句との出会い

出会いのきっかけは Twitter の投稿でした。菊池さんが自身の俳句の NFT 化をしたいという旨のツイートを見たことがきっかけでした。

当時私は身体の苦痛に長期的に悩んでいました。すぐに治るだろうと思っていた身体の痛みがすぐに治らない。小さなしこりが消えない。これからずっとこの苦しみと一緒に生きていかねばならないのだろうか。あるいはもしかすると死が近いのかもしれないと不安を感じていました。

そんな中で菊池さんの俳句と出会いました。

そこには身体の痛みに苦しんでいた自分にとって想像のできない世界がありました。クリスマスの日。自分の命運を握る呼吸器がクリスマスツリーと同じコンセントにつながれている。

命の不確かさを嫌でも突きつけられます。そんな状況に自分が置かれたとしたら何を思うだろうか、と想像しました。自分の抱えている問題がちっぽけに感じられて、身体の苦しみと付き合い続けた方がどのように自身の生と向き合っているのかをもっと知りたくなりました。

菊池さんの見ている世界を自分も見てみたい。そんな思いから俳句のNFT化が進められました。

ここで俳句のNFT化をサポートしている私が菊池さんの魅力を語ることは、菊池さんの俳句の解釈の幅を狭めてしまいかねません。しかし私は菊池さんの俳句を十分に理解しているどころか、俳句そのものに対しても明るくありません。ですのでいち菊池さんの俳句のファンとしてここではお話させていただきます。

菊池さんは自身の感じられていることをとても素直に表現されていると感じます。それは時に読んでいるこちら側が恥ずかしくなったりするほどにです。

しかしだからこそ読んでみたくなるのだと思います。それは失礼な言い方をしてしまえば、他人の頭の中を覗き見る楽しさのようなものがあると思います。普段は自分の心の中にそっとしまっておくようなことが言葉にされていると、その人の生をとても身近に感じられます。

生々しい生の感触。しかしそれが輝きのようにも感じます。欲望は生きる気力です。死と隣合わせな闇の中では、欲望は卑しいものというよりむしろ活き活きと光るもののように感じます。

また自虐的でありながら、どこかユーモラスな言葉の数々。そこからはどうしようもないことと向き合う姿勢が学べる気がしています。

とはいえ私はまだ菊池さんの俳句を理解したとはとても言えず、先にも触れたように俳句にも明るくありません。理解したと胸を張って言える時が来るかもわかりません。そもそもそういったものではないようにも思います。

ただこれから俳句のNFTを次々と発行していく中で、菊池さんの作品に触れてどのような世界を見ているのか自分も見てみたいと思っています。

この俳句NFTにロードマップを設けるつもりはありません。

一緒に菊池さんの世界を覗いてみること。それがNFTのユーティリティです。もし興味惹かれた方いましたらNFTをご購入ください。

そして頭の片隅にでも菊池さんの存在があることで、もしかしたら死に対する意識、反対に生に対する姿勢が変わるかもしれません。そうでないかもしれません。

一緒に菊池さんの作品を楽しめる方が増えていったら嬉しく思います。