StarknetのバリデータステーキングをArgent Mobileで行う方法
StarknetのバリデータステーキングをArgent Mobileで行う方法【徹底解説】
Starknetがいよいよ分散化に向けてネイティブ・ステーキングを開始しました。今回は、**スマホウォレット「Argent Mobile」**を使ってStarknet上でバリデータ(Validator)としてステーキングできるのか、その方法と仕組みについて詳しく解説します。最低20,000 STRKというハードルはありますが、Argentを使えば比較的簡単にステーキングを始めることができます。それでは、Argent Mobileでのステーキング対応状況、具体的な手順、ステーキング後のフルノードとの紐づけまで順を追って見ていきましょう。
Argent Mobileでバリデータステーキングは可能か?
結論から言えば、Argent Mobileアプリ内でStarknetのバリデータステーキングが可能です。 2024年10月、ArgentはStarknetのネイティブトークンSTRKのステーキング機能をArgent Mobileとブラウザ拡張版のArgent Xに統合しました (How to stake your STRK with Argent)。これにより、モバイルアプリから直接STRKをステークし、リワードを得ることができます。Argent経由のステーキングでは追加手数料が0%で、報酬を100%受け取れる点も魅力です (How to stake your STRK with Argent)。
バリデータとしてステークするには、最低20,000 STRKが必要です。Starknetのステーキングプロトコルでは、バリデータになるための最低ステーク額を20,000 STRKに設定しています (How to stake STRK? A beginner's guide)。このハードルを満たせば、誰でもフルノードを立ててStarknetネットワークのバリデータになれるという、完全にパーミッションレス(Permissionless)な設計です (Starknet Staking Guide by P2P.org)。Argent Mobileはこの条件を満たすユーザーが直接バリデータとしてステーキングできるようサポートしています。
Argent Mobileアプリ内にStarknetステーキング専用の機能が用意されており、アプリのメニューから簡単にアクセスできます。後述するように、Argent Mobileでは「Invest(投資)」タブから「Stake your STRK」という項目を選ぶことでステーキング画面に進めます (How to stake your STRK with Argent)。そこでステーク数量を入力し、確認するだけで手続きが完了します。
では、Argentを使わず外部のステーキングプラットフォームを利用する方法はどうでしょうか。実はVoyager(ブロックエクスプローラ)やStaking Rewards(ステーキングプラットフォーム)といったサービス上からArgentウォレットを連携し、ステーキング操作を行うことも可能です。Starknet公式もこれらを「ステーキングダッシュボード」として案内しており (Staking Overview :: Starknet documentation)、Argent XウォレットでStaking Rewardsのサイトに接続してステーキングする手順が各種ガイドで紹介されています (How to stake STRK? A beginner's guide) (How to stake STRK? A beginner's guide)。たとえば、PCでStaking RewardsのサイトにArgent Xを接続し、委任したいバリデータ(プロバイダ)を選んでステークする方法です (How to stake STRK? A beginner's guide)。VoyagerにもStarknet用のステーキングダッシュボードがあり、こちらは主にブラウザ拡張ウォレット(BraavosやArgent X)を接続して利用します (How to stake STRK? A beginner's guide)。Argent Mobileから直接ブラウザのDAppに接続する場合は、ウォレットコネクト(WalletConnect)機能を使ってPCのブラウザと連携すると良いでしょう。とはいえ、Argent Mobileアプリ内に既にステーキング機能が統合されているため、通常はアプリ内で完結する方法が手軽でおすすめです。
まとめると、Argent MobileはStarknetのバリデータステーキングに対応しており、20,000 STRK以上を保有していればアプリ内から直接バリデータとしてステーク可能です。また、Argentを既にお使いなら、VoyagerやStaking Rewards経由でウォレット連携してステーキングすることもできます。ただしArgentアプリ内でネイティブサポートされている分、操作はシンプルです。次章ではその具体的な手順を見てみましょう。
Argent Mobile経由でのステーキング手順
ここでは、Argent Mobileアプリを使って実際にStarknetでステーキング(バリデータ登録)する手順を詳しく解説します。対応ネットワークや**操作フロー(Approve→Stake)**についても触れていきます。
前提:ウォレットとネットワークの準備
まず、Argent MobileにStarknet対応のアカウントを作成し、十分なSTRK残高を用意しておく必要があります。StarknetはL2ですがEVM互換ではないため、Ethereum用の従来のアドレスではなく専用のアカウントコントラクトが必要です (Starknet Staking Guide by P2P.org)。ArgentやBraavosといったウォレットでアカウントを作成し、20,000 STRK以上の残高をそのアドレスに用意しましょう。STRKはイーサリアムL1から公式ブリッジでStarknetに送るか、対応する取引所から直接入手できます (Starknet Staking Guide by P2P.org)。
Argent Mobileアプリで利用できるのはStarknetのメインネットです。2024年11月にStarknetメインネットでステーキングが開始されました (Starknet launches phase 1 of its staking initiative on mainnet)。テスト目的であればSepoliaテストネット上でもステーキングは可能で、テストネットでは最低1 STRK・ロックアップ5分といった緩和設定になっています (Starknet Launches STRK Staking on Sepolia Testnet - Binance)。ただし、Argent Mobileは基本的にメインネット向けの操作を想定しています。実際に報酬を得られるのもメインネットのみなので、本番環境で進めましょう。
ステーキングの具体的な操作方法
Argent Mobileでステーキングする手順はとてもシンプルです。以下に基本的な流れをまとめます。
- Argent Mobileアプリを起動し、「Invest」タブを開きます。 アプリ下部のメニューから
Invest
(投資)をタップし、その中にある「Stake your STRK」という項目を選択します (How to stake your STRK with Argent)。 - 「Stake STRK」をタップし、ステーキングする数量を入力します。 画面の指示に従って「Stake STRK」を押し、ステークしたいSTRKの数量を入力します (How to stake your STRK with Argent)。20,000 STRK以上をステークする場合、自分自身がバリデータとして登録されます(20,000未満の場合は後述するように他のバリデータへの委任となる可能性があります)。
- 内容を確認してトランザクションを承認します。 入力内容を確認し、問題なければ「確認」あるいは「Invest」を押して処理を実行します (How to stake your STRK with Argent)。ウォレットにトランザクション承認の確認画面が出るので、これを承認すればステーキング完了です。
初めてステーキングする際は、背後で2つのトランザクションが順番に実行される点に注意してください。1つ目は**「承認(Approve)」と呼ばれる処理で、あなたのSTRKトークンをステーキングコントラクトが引き出せるよう許可するものです (Becoming a Validator :: Starknet documentation)。これはERC-20トークンをスマートコントラクトに預ける際に一般的な手続きで、指定した数量のSTRKの利用をステーキングコントラクトに許可します。2つ目は「ステーク(Stake)」**処理で、実際にトークンをロックしバリデータ情報を登録するトランザクションです (Becoming a Validator :: Starknet documentation)。ArgentのUIではこれらはシームレスに実行されますが、裏で2回の署名要求がある場合がありますので順に承認してください。
どのネットワークにステークするかは自動的に設定されています。Argent Mobileで通常利用するのはStarknetメインネットなので、特に切り替え操作をしない限りメインネットにステークされます。テストネット(Sepolia)で試したい高度なユーザーは、開発者向け設定等でネットワークを切り替えるか、Argent X拡張やCLIを用いる必要があります。ただし基本的にはメインネットで問題ないでしょう。
処理が完了すると、ステーキングしたSTRKはスマートコントラクトにロックされ、対応するバリデータとしてネットワークに登録されます。Argent側では、ステーキング後すぐに報酬の獲得が開始され、自動でリワードが蓄積されていきます (How to stake your STRK with Argent) (How to stake your STRK with Argent)。報酬の確認・受け取りもアプリ上で可能で、好きなタイミングで「Claim」(請求)操作を行えば、貯まったリワードを引き出せます (How to stake your STRK with Argent)。ステーキングしたSTRK自体を引き出したい場合(アンステーク)は、解除の操作を行った後21日間の解除待機期間を経て引き出し可能になります (How to stake your STRK with Argent)。このように、一度ステーキングすればあとはアプリ内で報酬管理や解除ができるため非常に簡便です。
補足:20,000未満のSTRKをステーキングする場合
Argent Mobileでは任意の数量のSTRKをステーク操作できますが、20,000 STRK未満では自分自身がバリデータとして認識されない点に注意が必要です (How to stake STRK? A beginner's guide)。Starknetの仕様上、20,000未満の自己ステークはバリデータの最低要件を満たさないため、この場合は**他のバリデータへの委任(デリゲーション)**として扱われます (How to stake STRK? A beginner's guide)。Argentのステーキング機能では、裏側で信頼できるバリデータ(手数料0%のバリデータなど)への委任を自動的に行ってくれる可能性があります。そのためユーザーは意識せずとも少額からステーキングによるリワード獲得が可能です。ただ、自前でフルノードを運用してバリデータになりたい場合は20,000 STRK以上を用意するようにしましょう。
ステーキング後のフルノードとの紐づけ
さて、Argent Mobileからステーキング処理を行った後、実際に自分のフルノード(フルノードサーバ)とステーク情報が正しく結び付くのかを確認しましょう。また、フルノード側で必要な追加設定や、Starknet上でバリデータとして認識される仕組みについて解説します。
フルノードの稼働とステーク情報の登録
Starknetでは、バリデータはフルノードを稼働させることが前提となっています。第1段階のステーキングではバリデータにブロック生成・承認といった重い責務は課されていませんが、それでも各自がフルノードを立てネットワークに参加する必要があります (Starknet Staking Guide by P2P.org)。言い換えれば、20,000 STRK以上をステークしただけでは形式上バリデータ登録は完了しますが、ネットワーク健全性のため自前のノードを起動して同期させておくことが求められます (Staking Overview :: Starknet documentation)。
Argent Mobileでステーキングした場合でも、ステーク自体のブロックチェーン上の記録は他の方法と変わりません。ステーキングの際に実行されたコントラクトのstake
関数によって、以下の情報がStarknet上のステーキングコントラクトに登録されています (Becoming a Validator :: Starknet documentation):
- ステークしたアドレス(バリデータのアドレス) … あなたのArgentウォレットのアドレスです。これがバリデータIDとして扱われます。
- リワード受取アドレス(reward_address) … ステーキング報酬の受け取り先アドレスです。通常は自分のウォレットと同じアドレスを指定します。
- オペレーショナルアドレス(operational_address) … 将来的にブロック提案や承認などのバリデータ業務を行う際に使用するアドレスです (Becoming a Validator :: Starknet documentation)。第1段階ではまだ利用されませんが、今後のフェーズでこのアドレスがノードの署名用アドレスとして機能します。
- ステーク量 … ロックしたSTRKトークンの量です。
- デリゲーションプール設定 … 第三者から委任を受け付けるか(
pool_enabled
)と、受け付ける場合の手数料率(commission
)です (Becoming a Validator :: Starknet documentation)。
Argent Mobile経由の場合、これらの項目はアプリが自動的に適切な値を設定してステークしているはずです。特に何も指定しなければ、reward_address
およびoperational_address
の両方に自分のArgentアカウントのアドレスが設定されている可能性が高いです(委任を受け付ける設定はデフォルトでは無効、つまり自分だけのステーキングとなっているでしょう)。このように、ステーキング時点でウォレットのアドレスとフルノードの識別子となるアドレスがひも付けられているため、基本的に追加のオンチェーン設定は不要です。
フルノードとの紐づけと追加設定の必要性
Argent Mobileからステーキングした後は、ご自身で用意したStarknetフルノードを稼働させましょう。現在、主なStarknetノード実装としてはNethermind社の「Juno」やEquilibrium社の「Pathfinder」などがあります (Becoming a Validator :: Starknet documentation)。これらを利用してサーバ上でフルノードを起動し、自分のノードがネットワークと同期するようにします。第1段階では、ノードを立ててさえいれば特別な鍵の登録やエンドポイント設定は要求されません。オペレーショナルアドレスに対応する鍵をノードが使えるようにしておく必要も、現時点では(少なくともPhase1では)厳密には問われていません。というのも、第1段階ではバリデータはブロック生成の責務を持たず、したがってその鍵で署名する機会がないからです (Staking Overview :: Starknet documentation)。極端に言えば、まだネットワークは中央のシーケンサーでブロック生成が行われている状況で、ステーキングはあくまで「経済的インセンティブのテスト」という位置づけです (Staking Overview :: Starknet documentation)。
しかし、将来的なフェーズではこのオペレーショナルアドレスの鍵を用いてノードがブロックに署名する必要が出てきます (Becoming a Validator :: Starknet documentation)。その段階になったら、フルノードの設定で自分のオペレーショナルアドレスに対応する鍵(秘密鍵)をロードしたり、ノードソフト上でバリデータ用の設定を有効にしたりする手順が追加されるでしょう。Phase2(2025年Q2〜Q3開始予定)では各バリデータがZKプローバ(ゼロ知識証明生成)も実行する責務が加わる見込みです (Starknet Staking Guide by P2P.org)。段階的にバリデータの役割が拡大していくため、最新情報を注視しノードのアップデートや設定変更に対応できるようにしておくことが重要です。
現時点(Phase1)では、Argentでステーク=ネットワーク上でバリデータ登録完了となります。フルノード側では特に「自分がバリデータである」ことを宣言する設定をする必要はありません。ノードを稼働し続け、ネットワークに貢献することで、プロトコル上は問題なく報酬が発生し続けます(なお、Phase1ではスラッシング(ペナルティ)は実装されておらず、ノードが万一ダウンしても直接トークンが削減されるリスクはありません (How to stake your STRK with Argent))。とはいえ、安定してノードを稼働させネットワークに参加することが、将来の完全分散化に向けて各バリデータに求められる姿勢となります。
ダッシュボードへの登録(Voyager/Staking Rewardsなど)
ステーキング後、自分のバリデータ情報をコミュニティのダッシュボードに載せたい場合は、別途登録申請を行う必要があります。現状、Starknetのバリデータ一覧はオンチェーンの情報だけで自動掲載される仕組みではなく、手動での情報提供が推奨されています。具体的には、VoyagerやStaking Rewards、コミュニティサイトのKarnotといったダッシュボードに対してフォームで情報を提出します (Becoming a Validator :: Starknet documentation)。これにより、あなたのバリデータノードの名前や連絡先、委任受付状況などが一覧に表示され、他のユーザーから委任(デリゲート)を受けやすくなります。Argent経由で自分だけステーキングしている場合でも、将来的に他者からの委任を受け入れる意思があるなら登録しておくと良いでしょう。
登録のためのフォームURLは公式ドキュメントなどで案内されています(Voyager用、StakingRewards用、Karnot用それぞれ別のフォームがあります (Becoming a Validator :: Starknet documentation))。必要事項を記入して送信すれば、しばらく後に各ダッシュボード上にあなたのバリデータが掲載されるはずです。なお、この手続きはあくまで表示用の情報提供であり、ステーキングそのものの有効性には影響しません。Argentでのステーキング完了時点で、すでにあなたはStarknetネットワーク上公式に「バリデータ」として認識されています。
まとめ
Argent Mobileを活用することで、これまで技術的ハードルの高かったStarknetのバリデータステーキングが身近なものになりました。Argent Mobileアプリ内の直感的なUIから、必要なSTRKをステークするだけでネットワークのバリデータになれます。最低ステーク額の20,000 STRKを用意できない場合でも、Argentの0%手数料ステーキングを通じて間接的にネットワークに参加し報酬を得る道が開かれています。ステーキング後は、忘れずに自前のフルノードを起動・維持してネットワークに貢献しましょう。第1段階ではフルノードを動かす以外に難しい設定はありませんが、将来のアップデートに備えて情報収集を続けることも大切です。
Argent Mobileでのステーキング手順自体は非常に簡単で、承認→ステークの2ステップを経て数タップで完了します (Becoming a Validator :: Starknet documentation) (Becoming a Validator :: Starknet documentation)。ステーキング後の報酬管理(クレーム)やアンステークもアプリ上からシームレスに行えます (How to stake your STRK with Argent) (How to stake your STRK with Argent)。これからStarknetの分散化が進み、Phase2以降でバリデータの責務が増えていっても、Argentなどコミュニティのツールを活用しながら参加者全員でネットワークを支えていきましょう。
最後に、安全にステーキングを楽しむために、シードフレーズの管理やウォレットのセキュリティ対策を怠らないようにしてください。幸い、現行のStarknetステーキングにはスラッシングが無くリスクは限定的ですが (How to stake your STRK with Argent)、スマートコントラクトリスクはゼロではありません。常に最新情報を確認しつつ、無理のない範囲でステーキングに参加しましょう。Argent Mobileでのステーキングが、あなたの資産運用とStarknetエコシステムの発展双方に寄与することを願っています。