Soul bound token(SBT)の活用事例|持続可能なWeb3ビジネスの構築に向けて
Soul bound token(SBT)は今年の1月にvitalickが提唱したのをきっかけにweb3領域では話題を集め、最近では下記の事例が確認/考案されています。
・SBTs × GameFi = NFT Lego
・レピュテーションシステム
・TokengatedCommerce
SBTによって、投機性の抑制や社会的文脈での活用だけではなく、NFTとSBTを組み合わせた「NFTレゴ」の構造を採用することが可能となり、持続可能性のあるエコシステムの構築を目指す取り組みも進んでいます。
昨日、参加したAya Talking With Joi in Tokyo 2022.においてもWeb3への関心の高さと実際の社会実装については議論がなされており、SBTを活用した持続可能性のあるロングタームなWeb3カルチャーは今後のホットトピックとなりそうです✌️
https://twitter.com/slashweb3_mk/status/1548989969066504192
今回はSBTの活用事例について解説していきます。
Soul bound token(SBT)の活用事例
そもそもなぜ譲渡不可なトークンが必要なのでしょうか?
すでにMMORPGの世界では2011年に「Soul bound item」について下記のようなディスカッションが行われており、ゲームの文脈においてはSBTの源流となる概念が存在していたことがわかります。
https://forums.mmorpg.com/discussion/306260/soulbound-items-good-or-bad
あくまで「Soul bound item」の役割はそれ自身が主体となることではなく、エコシステムの安定性や継続性を支える1つの要素として機能している点にあり、SBTは現在の短期的かつ投機的なNFT市場に一石を投じています。
Veトークンのように一定のロックアップ期間を設けることで保有や価格を維持するといった方法もありますが、例えばDoodleを3ヶ月保有していたら限定SBTを付与され、それがファンとしての証として機能することで、人々の自己顕示欲を充足させるというのは取り組みやすいビジネスモデルですよね。
一般でもファンクラブの継続数に応じて割引など特典が付与されるといったビジネスモデルは存在しているので、SBTも同様にクリプトネイティブな文脈から一般層まで普及していくことも考えられます。
あくまで「- to FUN」があるコミュニティやコンテンツありきではありますが、下記の事例のように「推し活」などブロックチェーンによる参加証明/行動履歴といった意味合いでは「Why Blockchain?」への1つのアンサーとしてクリプトネイティブかつマスアダプションな取り組みをSBTは推進していくのかもしれません✌️
https://twitter.com/shibuya_nikkei/status/1546389309359476737
イベント会場に行ったらPOAPが付与されたというだけで嬉しいものですが、日本ではチケットNFTをSBI NFTとローソンが共同で展開しているなど、持続可能なWeb3カルチャーといった意味合いでは今後も多くの事例が創出されそうです。
https://www.sbigroup.co.jp/news/pr/2022/0317_12936.html
ここから先は海外市場におけるSBTの事例について確認していきましょう。
①SBTs × GameFi = NFT Lego
メタバース系GameFi「Skybreach」は、各属性ごとのアイテム/土地をNFTとして獲得することができ、キャラクターがスキルや経験値をSBTとして装備することができます。
・属性の相性によってパワーアップ
・レベルアップによってスキル獲得
・レベルごとに入れるダンジョン制限
といったこれまでのRPGゲームなどで設定されてきた要素をトークンとして表現する取り組みは今後も増えていきそうですね。
かつてSoul bound itemが展開されたように世界的に人気のGameFiが付与するSBTがデジタル上のブランドアイコンとして機能することも期待され、SBTによってGameFi 領域におけるデジタルレピュテーションシステムがどのような変化を遂げていくのか注目です。
https://twitter.com/slashweb3_mk/status/1548569779430367232
②レピュテーションシステム
NFT/SBTを組み合わせて現実世界のレピュテーションシステムを再構築しようとする取り組みをScott Kominersは提唱しています。
現在のWeb3領域においては
・初期にトークンを配布:有象無象のユーザーを惹きつけてしまう
・Product Market Fiせず、トークン価格も下落、エコシステム崩壊
といった事例が相次いでおり、より持続可能性のあるトークンインセンティブ設計を模索する取り組みが進んでいます。
HeliumやArweaveなど、一度設定を行えばトークンを継続的に獲得できるプロジェクトなど一部では成功事例も生まれていますが、譲渡可能なトークンやNFTの場合には「売り圧」が大きな課題と言えます。
Scott Kominersは、下記のような2トークンレピュテーションシステムを提案しており、SBTを獲得することで、トークンが付与される仕組みを構築することで、フィードバックループを促進することができるとしています。
SBT
:転送不可能なレピュテーションシグナルとして機能
:貢献度に応じて獲得可能
トークン
:定期的にSBTの保有者に分配される譲渡可能なトークン(FT/NFT)
あくまで概念実証の段階ではありますが、2トークンレピュテーションシステム設計でより多くの事例が生まれることでSBTの社会実装も進んでいくことでしょう。
https://twitter.com/naritaiki/status/1537630611417886721
③TokengatedCommerce
Packy McCormickの「Tokengated Commerce」においては
「 Web3」は、新しいスタンダード(標準)を構築するためのコンセンサスが生まれる環境です。
すべてがスマートコントラクトアドレスであり、すべてがtokenIDであり、すべてがウォレットアドレスです。
とweb3を定義しており、
web3のようなブロックチェーンアーティファクトによって、相互運用可能で構成可能なソーシャルメカニックが競争力を持ち、競争を始めていることを意味します。
としています。
これまでにも特定のNFTを保有している人だけが入れるDiscordなどTokengatedなweb3カルチャーは存在してきましたが、今後は「TokengatedCommerce」型のオンラインショッピングを構築することも検討されます。
「TokengatedCommerce」の1例としてShopifyにおいてCoolCatNFT保有者にCoolCat帽子を付与する取り組みも確認されていますね✌️
https://twitter.com/richerd/status/1499503506410991625
小売市場と「 Web3」が接続することで、各企業やコミュニティは新たな「競争力」を獲得することにつながり、最近では海外では下記のような企業がNFTの発行に取り組んでいます。
https://twitter.com/MessariCrypto/status/1548321596573503489
今後は、先ほどの2トークンレピュテーションシステムを利用してSBTの保有者に対して特典の付与する際にも「TokengatedCommerce」は活用が見込まれ、web3がこれまでの投機性を内包した市場構造からより社会的な文脈に移行するに従い、小売市場においてもSBTの活用が広がることでしょう。
https://twitter.com/slashweb3_mk/status/1548352432471961601
まとめ
2021年2月ごろからこれまではNFTによるオリジナルIPコンテンツ創出のフェーズであったと仮定すると今後はそのオリジナルIPコンテンツでどのようなエコシステム/世界観を一般層も含めて展開していくかが問われており、その中でイベントでのSBTの配布や保有者への特典/還元のカルチャーが強化されていきそうです。
「譲渡不可」の特徴を有していることから「Why ブロックチェーン?」への問いに答えるのはより長い年月が必要とも考えられますが、10年後くらいに「あの日あの場所での参加記念/貢献が今も永続してブロックチェーン上で証明されている」といったメモリアルなデジタル体験の提供は持続可能性のあるweb3ビジネスを構築していくことでしょう。
私たちもSBTを活用したビジネスの検討を進めているので、期待していてください✌️
Slash Web3 Payment テストネットはこちら👇